引き続き、
「気」の構造
赤塚行雄より。
「気を合わせる」ということは、
「呼吸を合わせる」ことで、
何か他人からものを頼まれたときには、
すぐに気持ちよく「ハイ」と答えなさい、としつけられるが、
こうしたしつけも、呼吸を合わせろという教えであろう。
日本の伝統的な芸術においては、
俳句から日本舞踏に至るまで、
すべて呼吸が大切にされている。
かつては、日常生活においても同じで、
襖(ふすま)の開け方、挨拶の仕方など、
すべてにわたって呼吸というものがあった。
しかし、明治以来、
立礼が取り入れられ、坐礼が崩れ始めてから、呼吸の乱れがはじまった。
森鴎外は、『礼儀小言』において、
この問題に触れ、西欧から「物」を移入しても、
その「物」にともなった礼儀を取り入れていないから困るのだといったことを書いている。
つまり、駕籠(かご)の時代には、
駕籠にともなった礼儀があったのに、
西欧から自動車を移入してから、
かつての表現の型を失い、
気持ちはあっても、
その気持ちが表現できなくなったというのである。
なるほどですね~!
呼吸の乱れという表現が新鮮です。