「日本語はなぜ美しいのか」読了。
母語・母国語を切り口に、「日本語」について土地柄や身体性、脳の発達や人間形成まで網羅して述べている。
何気なく手に取って軽い気持ちで読みだしたはずやったのに、気が付いたらすっぽりハマって、最後には特殊な日本語を母国語として話せることに幸せを感じる本でした。
◆母語と母国語の説明が印象的でした。
<母語>
ある個体の脳が、人生最初に獲得する言語のこと。脳の基本機能と密接に関わっているので、後に獲得する二つ目以降の言語とは性格を異にする。
<母国語>
その国の風土と人々の意識とによって長く培われてきたことば。一つの土地において、似た骨格をもつ民族が、同じ生活習慣を重ねながら作り上げてきた母国語は風土・意識・身体感覚とことばがしっかりと結びついているのでことばに込められた情感が深い。
それから、<母音>と<子音>で分けてみる性質の違いも興味深い。
( 日本語と英語の比較と思って読むとわかりやすかったです)
日本語は<母音>を主体に音声認識する珍しい言語であること。
圧倒的少数派であるという特異性。
対して、欧米各国の言語は子音を主体に音声認識している。
上記の<異なる人類>は、そもそも脳の使い方が違い、言葉と意識の関係性とコミュニケーションの仕組みがまったく違う。
なので、
「生まれて初めて出会った言語、すなわち母語によって宇宙の見え方も、人間性の在り方も違ってしまうということになる。」
加えて、
◆母音語と子音語の使い手による対話の目的の違いもあるようです。
<母音語>
融和するための手段としてことばを使う。
仲良くなる方法を探るのが対話の目的。
(つまり日本語は)話すほどに融和していく・・・!?
<子音語>
境界線を決める手段としてことばを使う。
境界線のせめぎ合いが対話の目的。
(例えば英語は)話すほど、意識は対峙する・・・!?ので意味的な合意と、権利と義務の提示、絶え間ない好意の表明が必要不可欠・・・。
なんかよくわかる。
それから、
母音語の使い手は自然とも融和する。
自然の語りかけを感じることができる。
それは、山に神を感じ、海に神を感じて生きてきたから。
山を守る、海を守る、自然を守る・・・などのことばの使い方は間違いとある。
山、海のご機嫌を損ねないように生活していれば、
山、海から裏切られないことを知っていたから。
何千年も続く、豊かな自然が
私たちに融和する母音語をもたらしてくれた。
【融和して共存する日本人の特性は、日本語という母音語がもたらしている!!】
親が子に教える「ことば」にはとても大きな重みがある。
決して、自然に覚えて、勝手に話せるようになるというものではない。
日本語は本当に奥深い言語。
現代ッ子の我々、また子供たちにとっても難しい言葉になってしまっているかもしれない。
「ことば」で繋がる親子のコミュニケーション、日々大切にしたいですね。